ホステルを開くまでと、それから

2019年7月オープン予定 新富士駅前の宿 きの屋 KINOYA HOSTEL near the Sin-Fuji Station について

ホステルの暖簾制作 その5

追記19.08.22 修正済み

 

事前に発注した暖簾の制作の様子を撮影したい旨を伝えたところ、快く了承していただき、よく晴れたこの日に行うと連絡を頂きました。工程の途中で何度も干すので天気のいい日に行うようです。

 
今回選んだのは少しスケ感があるスラブの生地です。硝子戸越しの明かりが暖簾に透けるのが理想だったので。

その布に作成したスクリーン(所謂シルクスクリーンなどに使われるものです)を当てながら糊付けをしています。布を染める前にマスキングしているのですね。

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大雑把な工程としては、糊付け→天日干し→染色→天日干し→ゆすぎ となります。

ただ、今回は2色を使った暖簾なので上記の工程を2回繰り返します。通常は1色でやることが多いため中々手間のようでした。

 

冬場はともかく夏場は、もち米を使ったこの糊が腐りやすいので晴れた日にすぐに乾かさないといけないようです。場合によっては雨天時や夜間に大量の石油ヒーターで乾かします。

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刷毛を使って染めています。日に当てることで黒くなる染料です。なんでも革製品やタイヤ、石塔なんかにも使われていたりする万能な染料のようですね。

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塗ったところが時間が経ち黒くなっています。さらに塗り重ね黒くしていきます。

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また暫く日に当てて乾かします。

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驚いたことに、ゆすぎは、裏手の桜川でゆすぎます。
マスキングのための糊はもち米、糠、石灰、塩を混ぜて作った環境に優しいものです。染料も詳細はわかりませんが同様です。

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ここまでが1回目の染色の工程で黒の部分を染めました。
翌日緑色の部分をやります。

 

これらの工程が終ったら、あとは生地から暖簾に仕立てるだけです。

ホステルの暖簾制作 その4

ホステルの暖簾制作 その3 からの続きです。

他にも
玄関の硝子戸の硝子面にカッティングシートを貼るという案がありました。
ただ、使用する古建具の硝子戸は硝子面が薄く、貼る際などに耐久性に不安があります。硝子面の下部が曇硝子になっていることもあり、中々高価で貴重な代物です。
仮に硝子部分が割れたら、曇硝子はとても高価なので普通の硝子に交換することになるかなと。グラデーションフィルムを代用して硝子面下部に貼れば目隠しにできますし。

そんな人はいないでしょうが、足元から覗かれないためになんですかね 笑。

 

話が脱線しますが、
きの屋は古民家カフェなどを参考にしていますが、カフェと違うのは同じ古い建物のリノベーションであっても、
ある程度の堅牢性や安心感、戸締まりの安全性、それに目隠しなどが求められるという点です。寝泊まりするということは、寝間着で歩き回ったりもするわけで、外からも見える広い硝子窓は暖簾、障子、簾などで多少の目隠しが要りますし、あまりに開放的過ぎることは避けるべきかなと。

 

話を戻します。

上記の理由もあって玄関戸に暖簾を掛けたいとうのがあるんですよね、硝子面の下半分は曇りガラス、上半分は暖簾で目隠しするという風に。

いろいろ選択肢はありますが、結局、暖簾に戻りました。
でも、日除け暖簾に拘らず、普通の暖簾(長暖簾か半暖簾)でもいいかなと。
以前書いた暖簾の切れ目がロゴの視認性を担保できるか心配という点は、日除け暖簾だろうと風抜け用のスリットが要るとなれば同じことです。

候補も沢山あってキリがないので、取り敢えず幅180cm縦90cmの普通の暖簾に決めました。
遠州屋染物店の店主さん曰く、どうせ暖簾も消耗品で5年に1回ぐらいは変える必要があるようですし…。
人が触れるから手垢も付くし、雨、埃、排気ガスなんかで汚れるし、風で破けるし、日に焼けるし、色が落ちるし…等。
某有名旅館さんの湯のれんなんか2年毎に新しくしているようです。

幅180cm縦90cmというと玄関戸の縦半分が隠れる半のれんですね。4巾、つまり4つに割れている暖簾です。4という数字を避ける方も多いので、3巾か4巾かで迷ったんですが、視認性を鑑みると真ん中に割れが入るのが最も無難と思い、4巾になりました。

それと、PCモニタやA4に印刷した縮小サイズでしか暖簾を見ていなかったので、
注文前に実寸サイズで出力し、ロゴの大きさやどう見えるかなど確認することにしました。まあ暖簾全体でなくてもロゴが入る中央の部分だけでも確認できればいいかと、そこだけ出力しました。コンビニでA3にプリントしたのを6枚繋げて。プリントできない縁は黒マジックで補ってこんな感じに。

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思っていたよりもかなり大きいです。
これならロゴにスリットが入ってもそんなに気にならないなと思いました。

それで、いよいよ発注することになりました。

以前からネットで調べたり、静岡の紺屋を実際何件か訪ねてお話を聞いたりしました。
その上で、昨今は価格表を載せた分かりやすいネット通販のオーダー暖簾も多いですが、地元静岡県の暖簾屋や染物屋、紺屋に依頼するのがベターだいう結論に至りました。
というのも暖簾は、消耗品で約5年ごとに変えたほうがいいという点。 
洗濯やメンテナンスなどで相談することもあるだろうという点。
そういった諸々から実際足を運べる地元のお店の方がなにかと都合がいいと考えました。
それに地産地消の拘りが強くあるわけではないけれど、地元の老舗や職人さんにやってもらうというのはきの屋にとってもウリになるし、地元で商いをやる以上、地元に盛り上がって欲しいという思いがあります。 

 

それで、以前お話を伺いに行った三島の遠州屋染物店にご依頼することに決めました。
見積もりを出してもらったところ、予想していたよりお安く作ってもらえることが分かりホッとしました。安価を謳うネットで注文できるショップもたくさんありますが、それらよりもリーズナブルかもしれません。

 

遠州屋染物店さんについてはこちら↓↓で詳しく書かれています。

lovemishima.blog.fc2.com

ホステルの暖簾制作 その3

日除け暖簾ですが、いくつか問題があることが分かり、日除け暖簾以外の選択肢も改めて検討することにしました。


先に書いたように、
1つは内照式看板+カッティングシートです。和風なお店とも相性もよく、また暖簾も捨てがたかったので、暖簾との組み合わせも出来るので。
で、調べると大きさにもよるんですが、そこそこの金額がします。仮に50cm4方の正方形で作るとして、物自体とカッティングシート貼るなどの加工費、設置費など入れれば6~10万円くらいでしょうか。


こちらなら比較的安価に作れそうです。↓↓↓

看板買うなら看板マート!【アクリル電飾看板 販売ページ】

 

自分としては30~40cm4方の小さいのサイズで作りたかったのですが、その大きさだとあまり物が出回ってないんですよね。恐らく特注になってしまう。そうすると値段も跳ね上がります。

 

まあ、2m×2mの日除け暖簾も同じくらいの金額ですが。


もう1つは木の看板+カッティングシートです。こちらも暖簾との組み合わせを考えてました。やっぱり暖簾が捨てがたい 苦笑。

いずれもカッティングシートということですが、ロゴの微妙なグリーンをカッティングシートで探すのは難しいですね。かなり微調整して作ったグリーンなので。


カッティングシートでもインクジェットで色を出すタイプならできると思います。
ただ、インクジェットにあまり良いイメージがないんですよね。今だったら多分そんなことはないんでしょうけど、安っぽくみえないか少し不安になってしまう。

www.kanbanmart.com

 

ホステルの暖簾制作 その2

追記19.08.22 修正済み

 

3ヶ月くらい前ですが、玄関戸の大きさに合わせた幅2m高さ2m30cmの大きさで日除け暖簾を作ることに決め、その件を三島にある老舗染物屋、遠州屋染物店さんに持ち込んだのです。

 

かつて三島には紺屋、染物屋がいくつもあり、三島は染め物の街だったようです。
それが、いつしかこの遠州屋染物店さんだけに…。

19.08.22訂正とお詫び 三島市にはほかにも染物屋さんがあるそうです。大変失礼いたしました。

 

そんな、創業から150年の歴史がある老舗染物屋さんは訪れてみると
ナマコ壁の蔵のような母屋がまず目に入り、奥へ進むとそれ以上に古い立派な梁のある工房(築60年だそう)には、昔ながらの機械や器具が並び、古民家や古い物、レトロなものが好きな私にとって興味深い所でした。

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そこで、いろいろお話聞けて新たに分かった問題点などいくつかありました。


・まずこの大きさの日除け暖簾だと、風圧や重さに耐えられるそこそこ厚みのある生地にするべきだろうということ。
私としては、硝子張りの玄関戸から漏れる明かりが暖簾に透けてみえるような比較的薄い生地でやりたかったので…。 

・風圧負けて破ける可能性を抑えるため、風が通る抜け穴、スリットを入れるべきだということ。
ただ先の記事でも書きましたが、可読性や見た目を維持できる範囲でスリットを入れるのが中々難しいんですよね。

・どんな生地であれ元から2m幅のものはなく、最大でも1巾90cmの幅で、それを2巾繋げて180cm幅の生地にするしかないということ。
また、この中心にくる繋ぎ目が多少はずれることもあり、それも考慮すべきということ。

・これだけ大きい日除け暖簾だと出し入れが難しいし、基本出しっぱなしになるだろうということ。
雨天時や台風や強風のときは本来仕舞うべきで、出しっぱなしだと壊れやすいし、劣化しやすいということ。

 

こうした問題から、日除け暖簾を本当に作るのかどうか、すぐに答えは出せなくなったので取り敢えず保留にしていました。

 

lovemishima.blog.fc2.com

ホステルの暖簾制作 その1

今、ホステルのロゴ入り暖簾を作っているので、それについて書きます。まず経緯から。


ホステルの看板をどうしようかと考えてたとき、古民家カフェやホステルなんかをいろいろ調べると、玄関に設けた屋号入り暖簾が素敵だなと思っていました。例えば、台東区にあるirori hostelさんの暖簾とか。

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出典:FootPrints

他にも内照式照明もいいなと思っていました。例えば、大阪のhostel64さんなど、どこなく行灯のようで和の雰囲気もあります。

香川県にある檸檬ホテルさんの看板を拝見し、木の看板も面白いなと迷うのでした。一番リーズナブルだし。

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出典:コロカル


ただ、うちは外壁が木だから、木の壁に木の看板は不自然だろうということで没にしたのです…。ところがこれが私の早とちりでして、後に分かったのが玄関横の壁は漆喰にできるということでした。よって木の看板もアリになりました。
ちょうど古い木の座卓のようなもの(この建物を購入したときに付いてきたものです。座卓にしては足が短すぎて用途が不明でした。家主さん曰く要らないから好きにしていいということで…まあ不要な家財の処分代もこっち持ちでしたので)
が余っていたので、使えそうだなと。これにカッティングシートを貼ればいいかなと。
これです。

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看板に合わせてロゴもかなり前からデザインも思考錯誤しまして…。ロゴについてはまた別の記事で紹介しようと思いますが。
これです。

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暖簾にも長暖簾、日除け暖簾、水引き暖簾など、いろいろ種類があるんですけれども
当初、日除けのれんをやりたいと考えていたんですね。

というのも、普通暖簾って真ん中含め、いくつも切れ目が入りますよね。
で、きの屋のロゴが屋号の字数も多いことなどから結構複雑で(まあシンプルなのよりごちゃごちゃしたのが好きなので。ライブやフェスのフライヤーみたいなのを意識して作ったので。)
切れ目が入っていても家紋や絵柄だけとかだったら可読性が求められないからいいんですけれど。
それかシンプルなフォントや判読性の高いフォントを使っているなら割れても読めるしOKなんです。
あるいは枠の付いたロゴとかだったら、それこそ割り印のように上手くいくんですね。
例えば、日光珈琲さんの暖簾など。

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出典:PLAYLIFE


ただ、きの屋のロゴの場合は、スリットが入ると判読性や見た目が危ぶまれたんですよね。

 

上記の理由があったのと、あとは好みで日除けのれんの方が格好いいなと、そのときはそう思っていたので。


日除け暖簾で一番よく見かける大きさは幅90cm高さ2mくらいの大きさでしょうか。あくまで私の中でですが、パッと思い浮かんでたのがその大きさで。
大きさで当然お値段も変わってくるので、単純に倍の大きさあれば倍近くの値段になりそうでしたから、幅90cm高さ2mくらいのタイプの方なら1間分よりはお値段も手頃で良いかなと考えていたんですね。

ただきの屋のロゴデザインが正方形に寄せた形なので、縦長の暖簾に嵌めると上下の余白が矢鱈目立ってしまいます。

 

なので、ロゴの正方形に合わせた2m×2mくらいの大きさの暖簾にすることにしたんですね。イラレでレイアウトしてみると、これなら悪くない。
設計士さんと相談し玄関戸が一間(およそ180cm)あるので、それに合わせた大きさで幅2m高さ2m30cmくらいの大きさで行こうと決めました。かなりの大きさでインパクトあります。


それで3ヶ月くらい前に三島にある遠州屋染物店さんにこの件を持ち込んだのです。
そこで、いろいろとお話聞けて新たに分かったことがたくさんあったのです…。

 


続きはまた。

www.footprints-note.com

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一新された外観

ようやく足場が外れ、外観が全部見えるようになりました。

今回の工事で外観はすっかり新しくなっています。

せっかく古い日本家屋をリノベしているので自分としては古い外壁は全部でないにしろ一部残したかったのですが(費用面もそうですが、リノベしたことが分かる外観にしたかった)そこは用途変更のために満たさねばならない基準と必要な工事(耐震壁、筋交い、防火壁など)があり、外壁を全て剥がす必要があったのです。

 

↓建物正面側

 

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↓建物東側(カウンター席窓側)

 

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